まっくろい梁
帰省した先は雪国です。土間にある窓の外は雪景色。
土間に新しく薪ストーブが入っていて暖かい。
父が以前から仕事場として使用している古い家です。2階の窓からは姫沙羅(ヒメシャラ)の樹が見えます。木肌と枝振りが美しく夏は緑が鮮やかですが、今は雪化粧。
2階は屋根を支える梁がむき出しになっています。直線の梁は一本もなく、曲がっている木を組み合わせて使っています。どうやって設計するのか不思議なくらい木と木が入り組んでいます。
こちらは隣の部屋。梁は囲炉裏の煙で燻されて真っ黒になっており、黒い梁と白い壁のコントラストが美しい。(上の写真の部屋はもともと真っ黒だった梁を、大工さんが磨いてしまったそうです。)はしごを上るとそこは屋根裏になります。屋根裏は煤と蜘蛛の巣とで、まっくろくろすけの住処です。以前はムササビがすんでいて夜には駆け回る足音が聞こえたとのこと。
燻されて黒くなった柱を近くで見ると、手斧(ちょうな)で削ったあとが確認できます。手斧は現在ではほとんど使われることのない古い道具です。使用していないほぞ穴があるのは、80年くらい前にこの家を立て替えた際に、さらに古い建家で使用していた木材を再利用したからと言われています。
長い時間をかけて使い込む中で美しくなっていく物の中にいると安らぎます。娘とここにくるのは2回目となり、階段や梯子、囲炉裏や薪ストーブなど子供には危ないところもあるので大丈夫かなと思っていたのですが、危険なところは分かるようで、大喜びで家の中を駆け回っていました。